社会に紛れるサイコパス

サイコパスが人や社会に有害な存在であっても、外見の上で普通の人と区別できたり、行動からすぐに判断できるようであれば良いのですが、「サイコパスは普通に見える」で述べたように、実際はそう簡単ではありません。

サイコパスが社会に紛れ込みやすいのは、主に二つの大きな理由からだと言われています。

サイコパスの「保身」

もしもあなたが本気で誰かを殺そうと思ったら、人前で大声をあげて殴りかかったりはしないでしょう。

人気のないところでこっそり後ろから近づいていきなり刃物で刺したり、毒を入れた飲み物を親しげに差し出す方がずっと確実だからです。

最終的な目的が相手に害を与えるタイプの行動なら、最後の瞬間まで相手に自分の目的を悟られない方が得策であることを、サイコパスはよく知っています。

サイコパスは、正体を隠す能力に長けている

だから彼らは、自分が良心を持っていないことを隠して表情豊かに、時には普通の人よりも優しく涙もろい人物であるかのようにすら振る舞い、周りの人の共感を上手に利用するのです。

サイコパスも「生まれついての役者」というわけではないので、親や兄弟のように、早い段階から一緒に過ごしている人たちは、彼らの行動が異常であることに気づくでしょう。

しかし、他人がサイコパスの正体を見分けることは、そう簡単ではありません。

性善説が正体を隠す

サイコパスが簡単に正体を隠せるもう一つの理由は、私たちの多くが「人は心のどこかに良心を持っている」と無意識的に信じていることです。

いや、もしかしたら「持っていると信じたい」というのが本当のところかもしれません。

考えてみれば、小説やドラマ、映画などのストーリーにも、良心を全く持たない人間が登場することは稀です。

大抵の場合は同情するに足りる動機や、「良心のかけら」のような部分がドラマチックに描かれています。

作品によってはサイコパス的な人物が登場することもありますが、物語のなかに登場するサイコパスはほぼ例外なく凶悪犯罪者なので、身近な存在として捉えることは難しいでしょう。

しかし、大事件として報道されなかったとしても、サイコパスの被害者はたくさん存在します。

「この人はサイコパスではないか?」
そう疑う人が極端に少ないという事実が、サイコパスを社会に紛れ込ませているのです。

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